島で広がる“互恵の輪”。海士町発のデジタル地域通貨「ハーンPay」が始動
隠岐諸島・海士町で、地域に根ざした新しい決済サービスが静かに広がり始めている。
その名も「ハーンPay」。住民と観光客がスマートフォン1つで地域通貨を利用できる、互恵の精神に基づいたデジタル決済だ。サービスは2025年1月14日、町内の複数店舗と共にスタートした。
海士町ではかねてより地域経済の循環が課題となっていた。島外に流出するお金をいかに島内で循環させるか――ハーンPayはその解決策として誕生した。住民や観光客はアプリを通じて円を地域通貨にチャージし、町内の加盟店で買い物やサービスの支払いに利用できる。
さらに、利用状況に応じてポイントも付与され、1ポイント1円として利用可能だ。単なるキャッシュレス決済ではなく、地域で使えば使うほどその恩恵が地域に戻る仕組みとなっている。
開発担当者はこう語る。
「ハーンPayは、ただの“お金のやり取り”を超えたサービスです。島に住む人と訪れる人の距離を近づけ、助け合いの文化を共有できる、そんな新しいコミュニケーションのきっかけになればと考えています」
加盟店にとってもメリットは大きい。決済手数料0円、換金手数料0円(条件付き)を実現し、導入コストを大幅に抑えた。加えて、事業者・利用者双方にメリットのあるキャンペーンも今後展開される予定だ。
人と人のつながりを大切にしてきた海士町らしい挑戦が、デジタルの力を得て新たな形となったハーンPay。島の未来を支える“温かい経済圏”の実現に向け、着実に一歩を踏み出している。
